風鈴

猫 サイエンス 哲学

A : abstraction【抽象概念】

心に浮かんだイメージを言語化せず、絵に表すこともせず、喩えることもなく、心に浮かべたままにしておく訓練みたいなものを時々行っている。

それは見えない。
それは聴こえない。
味もしない、触れることができない。
けれどそこに『在る』イメージ。

感情であったり、思考であったり、問いに対する答えであったりもする。

人と解りあおうと考えたとき、抽象概念をある程度具体化し、イメージに実在性をもたせる必要が生まれてくる。また、人が独りであるならば言語は生まれなかっただろうとはよく云われるけれど、記憶にしまいこんだイメージを任意に取り出すためにはある種のフックが有用であることから、言語までは至らずとも、イメージを何かしらの現象と結びつける行為を、我々は自然と行っているだろう。

表現をしなければ、出力をしなければ、共有しなければ、それは「無」であるのか?
「私」はむしろ、抽象概念という宇宙に浮かぶ小さな星に住む小さな生物に過ぎない、と思う。

それは確かにそこに『在る』。